ご挨拶

戦後の人的交流にウエイトをおいたアメリカの援助、なかでもフルブライト基金は、教育・研究を通じわが国の医学・医療の発展に大きく寄与し、いまなお高く評価されています。当財団は、両国間の医学・医療の交流を目的とし、そのフルブライト基金の日本版を目指して、1988年厚生省の認可により設立されました。2000年11月寄附行為(定款)の改正を経て、活動範囲は北米に限らず広く全世界とし、医学医療交流や教育に関するセミナー・研究会への助成等がより活発に実施できるようになり、2012年8月には公益財団法人として新たな活動の基盤が担保されました。当財団の主たる事業は医学・看護その他医療従事者のための国際交流支援であり、現在までに600名を超える方々の留学助成を行い、アメリカ合衆国やカナダの北米を中心に、欧州、アジア圏にも留学助成を行ってきました。当財団の助成を受けた方々の留学先での活動はもとより、帰国後の活躍も高く評価されており、今後とも当財団は、留学助成に努力して参る所存であります。

ひるがえって現在は、社会・経済や自然環境のみならず、保健・医療・教育等、我々を取り巻く環境の変化は早く、極めて厳しい状況にあります。しかし、いかなる時代にあっても、医学・医療並びにその教育に対しては、確固たる信念をもって、その向上に努めていかなければなりません。

近年の医学教育では、卒前、卒後教育に著しい変革があります。その基本理念は、教員、医師中心から、学習者中心の教育、患者中心の医療への転換です。具体的には、卒前教育は講義中心から問題基盤型学習へ、臨床実習は見学型から参加型へ、そして臨床実習開始前での基本的臨床能力評価の共用試験、(標準)模擬患者(SP)の育成・普及、卒後の研修の必修化と、それに伴うマッチング制度の導入、専門医教育制度の見直し等が挙げられます。これらの変革の多くは北米での新しい医学教育法が参考にされています。その意味から、当財団の助成により特に北米で研修した方々が、かの地で実体験した医学教育や医療を本邦に導入し、わが国の医学教育、ひいては医療の改善に大いに貢献して頂きたいと希望するものであります。一方、半世紀にわたり国民皆保険制度を維持してきた日本、世界に先駆けて高齢化社会に突入した日本の医療に対する世界の関心は高いといえ、当財団は、公益財団法人として、日本の医学医療に世界貢献の場を与える役割も果たす必要があると考えます。

ご存じのように本財団の事業は、各位の絶大なご厚情・ご協力に支えられており、皆様のご支援なくしては、所期の目的を達成することはできません。2012年8月に公益財団法人に移行致しましたので、当財団へのご寄附及び賛助会費に対しては税の優遇措置(いわゆる免税)が講じられます。 なにとぞ格段のお力添えを賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。

公益財団法人日米医学医療交流財団
会 長 黒川  清
理事長 清水 一功

「日本版ホスピタリストの育成に向けて」-日米医学医療交流財団の新戦略-

*一部抜粋 ( 全文はこちら


当財団会長を務めております、黒川清です。当財団の新戦略「日本版ホスピタリスト」の育成に興味を持っていただき、ありがとうございます。

生命医科学、医療技術・検査等の急速な進歩とともに、この3、 40年ほど、内科、外科などの専門分化が始まり、社会にも受け入れられてきました。老人科、精神内科、脳外科などが始まりと言われています。臓器別疾患の対応や、ガンなどの対応にとって、専門分化することが適切であると認識されてきました。

しかし、時代は変わり、長寿、生活習慣病、医療費の高騰など、複数の「疾患状況」を持つ人が増え、セカンドオピニオンなどの機会が増えてきています。全体を見渡せる「主治医、かかりつけ医」へのニーズは当然の流れだと考えます。一方で入院時の対応はどうでしょうか。どの分野の専門医に診て貰えば良いのか、医師でさえ惑うことがあります。

そこで注目され始めたのが、医療費は突出して高い米国で出現した「ホスピタリスト」と言われる、もっぱら入院患者の全体をマネージする医師たちの出現、活躍です。主に内科の臨床研修を受けた後、入院の始めから全体を通して対応し、特別な手技、内視鏡、手術など、必要に応じて専門医への橋渡しをする、回復すればまた主治医として患者の全体をマネージする医師たちです。

このような医師たちは、一つのグループとして昼夜活動しますが、病院にとっては、専門医の能力は専門分野に集中させることが可能となります。全体の運営を司り、かつ医師の立場で経営の流れを学ぶことも出来る医師たちの存在は非常に有用です。他方、このような医師たちにとっても、仕事の満足度が高くなります。その総合的な臨床医としての「うで」を「存分に」生かせているためです。

このように、ホスピタリストの存在は、専門医たちにはその腕前を効果的に発揮してもらえる、患者さんに満足度の高い総合的な医療を提供できる、病院経営の無駄をなくす、という関係者全てにプラスに働くことになります。要は、病院内の「タテ割り」、「たらい回し」などの無駄をなくすことで、入院患者に関わる、全ての関係者の満足度を増すことになる、医師たちなのです。

そこで、当財団では、「日本版ホスピタリスト」の育成に取り組んでおります。是非ご支援いただければ幸いに存じます。

2017年11月20日
公益財団法人日米医学医療交流財団
会 長  黒川  清

財団設立の趣意

戦後、日本の医学医療は米国に負うところが極めて大でした。しかし、米国人医師数の増加により、外国人医師の受入れが厳しくなり、米国で医療研修に従事するレジデントの数は、1970年代初期の約300名から1980年代中頃には1桁に激減し、そのまま推移すれば、日米間の医療研修の糸が切れてしまう恐れがありました。

しかし、臓器移植を始め、救急医学、プライマリ・ケアのみならず、教育システム・教育者の教育姿勢や技法など、米国になお学ぶべき点は多々あり、逆に米国側にも、内視鏡技術や東洋医学などの研修希望や相互交流のニーズは逆に増大していたのです。

そのような状況に対処すべく、医学医療の領域における日本版フルブライト基金を念頭に、本財団は1988年10月25日に公益法人として設立されました。

(当時主務官庁厚生省・認可は1988年10月13日)

設立後の歩み

設立の翌年1989年5月に特定公益増進法人に認定され、その後2011年まで2年毎の更新を受けてきました。その間多くの方々からの賛助会費及び寄附金でご支援をいただいてまいりました。

この間留学助成者は600名を超え、その留学助成者は帰国後も高い評価を受けております。毎年本財団が助成する医学医療交流セミナー(学会・セミナー)には全国から熱心な医療関係者が参加し、医学医療情報の交流と相互研修に精励努力しています。その他、年2回の JANAMEF NEWS の発行により賛助会員へのよりよい情報提供を図っています。

2000年11月には寄附行為改正の結果、理事ならびに評議員の増員が認められ、かつ学会、研究会の助成も可能となりました。2002年より、理事、評議員を中心に、医歯薬セミナー、看護セミナーを開催し、医療の質の向上を目指した留学を奨励してきました。

そして2012年7月24日内閣府より新公益法人への移行認定を受け、8月1日に移行登記を行い公益財団法人として新たなスタートをきりました。今後は公益法人の名に恥じぬよう、医学医療分野での国際交流支援活動に寄与するため一層努力して参る所存ですので、倍旧のご指導・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。