留学報告


2018年4月30日

Salk Institute for Biological Studies, Gene Expression Laboratory (GEL-B)
(ソーク研究所遺伝子発現研究室)
客員研究員 庄嶋健作

 

海外留学支援制度「大リーガー医」育成プロジェクトで、橋本市民病院の助成を受け、2017年9月21日より米国カリフォルニア州サンディエゴ市にあるソーク研究所の Juan Carlos Izpisua Belmonte 教授が主宰する遺伝子発現研究室に留学し、2018年4月30日現在も同研究所で研究を継続しております。助成を受けた過去半年間について報告致します。

まず留学先の都市であるサンディエゴについてですが、ロサンゼルスから車で南へ2時間の場所に位置し、人口140万人で全米8位の規模となっています。この地方は一年中雨が少なく(年間300日以上が晴天)、温暖で、とても生活しやすい気候です。トランプ政権となって何かと話題のメキシコとの国境に位置しますが、治安もよく、育児にも理解があって家族も安心して生活が出来ています。日系スーパーも揃っており、大変住みやすい街です。ただし、とにかく広いので車は生活必需品です。その点は橋本市にもよく似ていて、フリーウェイを走っていると京奈和道をよく思い出します。留学先のソーク研究所に加え、スクリプス研究所やカリフォルニア大学サンディエゴ校、バイオ系の様々な企業・ベンチャーが研究所を構えており、生命科学の一大拠点としても知られます。

留学先のソーク研究所は、ポリオワクチンの開発で知られる Jonas Salk 博士によって、1963年に創設された生物医学系の研究所です。DNA の2重螺旋構造を解明したことで有名な Francis Crick 博士が研究所長をしていたことでも知られ、小規模ながら多数のノーベル賞受賞者を輩出しています。現在もノーベル賞候補と呼ばれる Fred Gage 博士や Ronald Evans 博士、Tony Hunter 博士が現役で教授を務める、アメリカでもトップクラスの研究機関です。

一方で研究所自体がアメリカを代表する建築家の Louis Kahn の代表作として知られ、上記写真の風景を見るたびに、半年経った今も心踊るような気持ちになります。

私の所属する研究室の主任研究者である Belmonte 教授は、スペイン出身の世界的な幹細胞研究の権威であり、再生医療、さらに最近では老化研究に力を入れていることでも知られます。若い頃はプロサッカー選手という異色の経歴の持ち主でもあります。約30人で構成される研究室は、日本、中国、インド、スペイン、イタリア、コロンビア、メキシコにアメリカと多国籍の陣容を誇ります。様々なバックグランドの研究者が集い、協力しあい、多方面に独創的な研究を推進した結果、革新的な研究成果をコンスタントに発表している、非常にアクティビティの高い研究室となっています。

これまではシグナル伝達とがんの研究を行っておりましたが、こちらでは臓器再生を介した抗加齢医療の実現に向けて研究を開始しました。今までと分野を変えての挑戦であり、新しい環境はいろいろ勝手が違いますが、幸い周囲の方々の助けで研究は順調に進められております。橋本市民病院で総合内科に勤務させて頂き、高齢者医療に携われた経験もうまく研究に結びつけていけないかと考えておりますが、こちらはなかなか難しいです。

以上の様に、大変恵まれた環境で研究生活を送ることが出来ています。これもひとえに、私を助成対象に選んでくださいました橋本市民病院、また日米医学医療交流財団のおかげで、心より感謝申し上げます。ただ、優秀な研究者と共に素敵な建物の中で研究しているだけで、何か成し遂げたように勘違いしそうになりますが、実際はまだ何も成し遂げておりません。橋本市民病院からの助成のお陰でこの貴重な経験をさせていただけることを肝に銘じ、今後より一層の成果を挙げられるよう、頑張っていきたいと思います。