JANAMEFメルマガ(No.8)
日米医学医療交流財団の歴史とともに
高瀬 義昌
医療法人社団至高会 たかせクリニック 理事長
多くのドクター・ナースで海外での体験された皆さんのお話を聞いて、うらやましいかったり、まぶしかったりという経験を30年以上繰り返す中、医師になったばかりの頃に戻って、順を追って、印象深い記憶を振り返ってみたいと思います。
信州大の凡庸な医学生の頃から東京都人会の幹事をされていた伊藤澄信先生には、下宿先で勉強を教えていただいて、精緻なノートに驚いたことを思い出します。実は都人会の代表は第一生理学教室の東健彦教授でした。伊藤先生は大学卒業後、第一生理学の医局に入局されたのですが、基礎医学に進まれたんだなぁと理解していたのです。数年後、私は東京のある大学の精神科の医局に入局しようとしていたのですが、思いどおりにはいかず、結局、ある大学の麻酔科に入局しました。
数年後、医学界新聞に伊藤澄信先生と武藤正樹先生がニューヨークで家庭医学を学ばれながら悪戦苦闘されている記事をみて驚いたのでした。
その理由は、伊藤先生が臨床医としてどっぷりつかっておられる事でした。私は、伊藤先生は基礎医学を極められると勝手に思っていましたので、臨床のましてや、内科・小児科・小外科・精神科・場合によってはお産をみるという家庭医学の現場で、しかもエイズ真っ只中のニューヨークで活躍されているという記事は私にとっては頭を割られたくらいに衝撃的でした。
その後、患者家族として複雑系・トランスパーソナル心理学の田中三彦氏や故・吉福伸逸氏にお会いしたり、ネットワーク論の金子郁容教授とお会いする中で、包括的な科学哲学が少しずつ台頭する中で、プライマリ・ケア医学・医療への方向性を肌で感じていました。
特に感染症領域では蟻田功先生や青木眞先生、診断推論では生坂正臣先生、徳田安春先生、医学教育では松村理司先生、伴信太郎先生、大滝純司先生など多くの先生方と知己を得ながら、全体として総合診療、ホスピタリストへの流れは、良い意味で確信していました。日米医学医療交流財団をお手伝いしながら、時期を同じくして、介護保険制度の創設と社会実装に香取照幸氏、三浦公嗣氏が奮闘されている流れがありました。
公衆衛生・医療経済学、診断推論への流れだけでなく、遠藤直哉弁護士の言われる医療安全、訴訟リスク、医療現場における刑事告訴の妥当性の検討など、多くの議題ついての許容範囲が広いプラットフォームが、あるようでない現場で日米医学医療交流財団の歴史的、同時に今日的な意義はますます大きくなっていくのだろうと思います。
自由闊達な議論の場所に多くの皆様のご参加と同時に、若いジェネラリスト志向の医療関係者に対する物心とものサポートを継続していきたいものです。この大道をご一緒に切り拓いていきましょう!
最後に、広報委員長としてお知らせがあります。
本財団は2000年より年1回、医学部を持つ大学と共催する形で、医学留学セミナーを開催しております。今年は東京女子医科大学様とオンライン開催です。下記よりお申込みをお待ちしております!会員と学生の方は参加費無料です。ご参加よろしくお願いします!
2021年 医学医療交流セミナー「コロナ時代の海外留学に向けて」
日時:2021年10月9日(土)8:40~15:00
会場:オンライン開催(Zoomウェビナー)
参加費:財団会員:無料、学生:無料、初期研修医:1,000円、一般:2,000円
参加登録:https://scholarsmeeting.jp/meeting/104/
*ScholarsMeetingにご登録(無料)の上、お申込み下さい。
執筆:高瀬 義昌
医療法人社団至高会 たかせクリニック 理事長
公益財団法人 日米医学医療交流財団 理事/広報委員長/企画開発委員
発行:公益財団法人日米医学医療交流財団【2021年8月31日】