みなさん、こんにちは。JANAMEFの広報委員会です。JANAMEFメルマガを新たに立ち上げました。会員のみなさまと当財団にゆかりのある方々にお送りします。医療や医学、パブリックヘルス、留学などに関係するコンテンツをお届けします。毎月1回程度での発行予定です。
 
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No.10 ホスピタリストを増やしたい

皆さん、初めまして、こんにちは。所属に日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院と書きましたが、そんな名称は聞いた事がない方も沢山いらっしゃるでしょう。実は、旧・名古屋第一赤十字病院と旧・名古屋第二赤十字病院は、現在の医療情勢に対応するため、従前より更に強く協力を進めて先々の経営統合も目指して、2021年7月に愛知医療センターと呼称する裁可を本社から得ました…

No.9「板中Way」

私が広報委員を務める日米医学医療交流財団(JANAMEF)の目的は、日米両国の医療関係者による交流を通じて、日米両国の保健医療の発展に寄与することである。当初より研修医をはじめとする多くの医療従事者の米国留学を支援しており、その数は設立30周年時点で600名超に上る。医学留学セミナーも毎年開催しており、今年は「コロナ時代の留学に向けて」というテーマで、10月9日(土)にオンライン形式で東京女子医科大学と共催する…

No.8 日米医学医療交流財団の歴史とともに

多くのドクター・ナースで海外での体験された皆さんのお話を聞いて、うらやましいかったり、まぶしかったりという経験を30年以上繰り返す中、医師になったばかりの頃に戻って、順を追って、印象深い記憶を振り返ってみたいと思います。信州大の凡庸な医学生の頃から東京都人会の幹事をされていた伊藤澄信先生には、下宿先で勉強を教えていただいて、精緻なノートに驚いたことを思い出します。実は都人会の代表は…

No.7 あるジェネラリストが思う、シマネのシネマ

筆者は2020年6月からHarvard Medical School Master of Healthcare Quality and Safetyというかなり新しい分野の大学院に所属しCutting edgeな事を日々学んでいる。各国の医療の質と安全の“プロフェッショナルを養成するためのリーダーを養成する”というビジョンとコンセプトが格段にイケており、そこそこ満足している。そこそこというのは、COVID-19パンデミックのせいで、物理空間的な活躍する場所が二転三転と振り回されているからである(後記)。

No.6 なぜ日本にホスピタリストが広がらないのか ―長年日本で臨床教育に関わる「外人」の視点 その2―

長年日本の卒後臨床教育、とくに総合診療・ホスピタリストの育成に取り組んでこられた「外人」の視点、その2をお送りします。「なぜ日本にホスピタリストが広がらないのか」を英国の医学教育をバックグラウンドに持つJoel Branch先生に語って頂きます。「日本の病院、その教育体制はどちらかというとドイツ型に近い」というBranch先生の観察。そして改善策として「ドイツ型に似るイギリス型の良い部分を取り入れては・・」というアイデアは傾聴に値すると思います。

No.5 なぜ日本にホスピタリストが広がらないのか ―長年日本で臨床教育に関わる「外人」の視点―

半世紀以上、米国の優れた卒後臨床教育は、世界各国から多くの医学部卒業生(Foreign/International Medical Graduate)を惹きつけて来ました。特に卒後数年までの系統的な臨床教育は内科系、外科系を問わず優れたGeneral Mindを養ってきたと感じています。日米医学医療交流財団(JANAMEF)も長年短期、長期の留学を支援し、とくに黒川清先生が会長に就任されてからはGeneral mindを持つ「日本版ホスピタリスト」の育成に注力してきました。しかし残念ながら総合診療方面に進む日本の若手もなかなか増えてこない印象をもっています。

No.4 ホスピタリストの意義と必要なスキル―米国ホスピタリストディレクターの視点から―

米国では救命救急医、ホスピタリスト、集中医療医がコロナ禍のフロントライン医師として活躍しています。その中でも入院患者の全身管理、治療を担当するホスピタリスト、集中医療医の存在はCOVID-19(以下コロナ)重症患者には必要不可欠となりました。なぜならコロナは単に呼吸器疾患ではなく全身疾患であるからです。コロナ感染は多様な症状で発症します。例えば消化器症状を主訴に来院する患者、脳梗塞で発症する患者、胸痛でくる患者、失神、めまいでくる患者、精神症状を主訴に来院する患者とコロナ感染の主訴は多様です。そこにはしっかりと全身を診る技量がある救命救急医、ホスピタリスト、集中治療医等のジェネラリストの存在なくしてこのパンデミックを乗り切れません。

No.3 クリーブランドクリニックにおけるCOVID-19診療

米国オハイオ州にあるクリーブランドクリニックで集中治療フェローをしている佐藤良太と申します。メールマガジンを執筆するという貴重な機会を頂き、誠にありがとうございます。今回は米国のハイボリュームセンターでどのようにCOVID-19を診療しているか、ということについて解説させていただきたいと思います。

まず、当院についての概要ですがクリーブランドクリニックはその名前の通り、オハイオ州のクリーブランド州にあり1921年に設立された非営利医療機関です。現在、私が主に勤務している本院は1,400床あり、医師が約4,000人、従業員は合計60,000人ほど勤務している非常に大規模な病院です。本院以外にも

No.2 チーフレジデントとしてコロナ禍を経験して思うこと

2020年1月下旬に最初の感染者を確認した米国ではその後急激に感染者数が増加し、2020年11月時点で米国内の累計感染者数は1200万人を超え、死亡者数は25万人超えと世界最多の感染者数と死亡者数を記録している。1月から現在に至るまでニューヨークでは医療崩壊が起きたり、全米でPPEの不足が起きたりと、先進国とは思えない悲惨な状況が続く中、現在第三波の恐怖が全米各地へ押し寄せてきている。もうこのような状況が1年近く続くのかと思うと驚きを隠せないが、この1年で米国の医療現場も大きく変わった。

米国ではそれまでマスクをすることは自分が体調不良である時に限られていたが、現在は医療者全員がマスクとゴーグルを着用するようになり、遠隔医療が急速に進み一時期は

No.1 コロナ診療と日本版ホスピタリスト

新型コロナウイルスのパンデミックでは、世界の医療者がフロントラインで活躍している。コロナ感染は、咳や呼吸困難などの呼吸器症状だけでなく、下痢、嘔吐や腹痛などの消化器症状、嗅覚障害やけいれんなどの神経症状、をきたすこともある。また、凝固亢進によって、深部静脈血栓症や心筋梗塞などもきたす。感染で体調不良となり、交通外傷や転倒などでも来院する。

このようなさまざまな症候で受診するコロナ患者を診療する医療者はHigh index of suspicionを備えた診断スキルを持つ必要がある。すなわち、